こういった方は犬を飼わないでください。
はじめまして。うらパパと申します。
私は、トリマーと呼ばれる職業を10年以上やってきた経験から、
*これから犬を飼いたいと思っている人
*既に犬と暮らしている人
*トリマーの仕事を目指している人
*既にトリマーの仕事をされている人
上記の方々に伝えたい事を綴っていこうと思っております。
なぜ、そう思い至ったのか…まずお題の件です。
犬を家庭に迎え入れるということは、一つの命の流れ(誕生から永眠まで)を受け入れるということです。昨今のペット(この言い方はあまり好きではありませんが)の立ち位置というのは、子供、家族の一員といっても過言ではありません。
言葉が通じない分、彼らは私達の一挙一動を良く見ています。そして私達に、きちんと喜怒哀楽を表現している生き物です。
例えば、こんなお客様がいらっしゃいます。新規の方です。40代くらいでしょうか?、メイクバッチリ、御髪も綺麗に整えられ、ネイルにも熱心なご様子です。お手持ちのバッグは誰もが知る高級ブランドのもの。
そんなお客様がお連れになったのは、伸びに伸ばし放題で全身が毛玉だらけの茶色の塊。お目々が毛で隠れてしまって、表情も読み取れません。おそらく、目の周りは大きな目ヤニが固まっているでしょう。
絡まった被毛は皮膚に張り付いている状態で、根元から刈ってしまう以外、手はありません。その作業自体も危険が伴う作業です。いわゆる「丸刈り」ですが、それが簡単なカットだと思うのは大間違いです。
マット状になってしまった被毛の下の皮膚は炎症を起こしている可能性があり、バリカンの刃が当たっただけで赤くなったり、切れてしまうことがあります。
また皮膚に問題がなくても、毛玉の下がどうなっているかわからない状態で毛を刈るのは、慎重に慎重を重ねる必要があります。もしかしたら、イボなどの突起箇所があるかもしれません。
もし、これらが原因で皮膚を傷付けてしまった場合、トリマー側の責任となり、トリミング代の割引や病院診療代の負担などが発生します。
普通に考えれば、そんなリスクのあるお客様はお断りして、トリミングをしている病院に行っていただくのが一番ですが、私達はそんな状態になった犬を放っておけません。なんとかしてあげたいと思うトリマーが大半でしょう。
一方で、私達が作業中に犬に噛まれてしまった場合…お客様に治療費や休んでいる間に得られるはずだった収入を請求できますでしょうか?残念ながら、そんな話は聞いたことありません。(この話は長くなるので、後述いたします。)
新規のお客様がお連れになった状況に話を戻すと、
*一度短くして被毛をリセットするしかない。
*毛玉を処理する追加料金が発生する。
*作業工程で、どうしても皮膚を引っ張ったり、毛で隠れていた皮膚が露出するので、カット後、痒がるかもしれない。
上記の事を説明して、ご納得いただけるお客様はまだ良いです。中にはこんなお客様もいらっしゃいます。
*まだ寒いから短くしたくない、短くしたら可哀想。
*毛玉料金なんて聞いていない。なんでさらにお金がかかるんだ?
*何かあったら病院代を払ってくれるのか?
正直申し上げて、こんな毛玉の塊になった犬の方が可哀想です。きちんとトリミングに出してもらえる方に飼われたら、こんなことにはならなかったでしょう。貴女の所に来てしまったことも可哀想です。
お手持ちのバッグはおいくらでしょうか?そのハンドバッグ一つで、愛犬のトリミング代一年分くらいになるでしょう。定期的にお出しになっていれば、そもそも毛玉料金はかかりません。
私達トリマーも人間ですので、不注意で怪我をさせてしまうことはあります。ですが今回の場合、リスクが高い状況を生み出したのは、他ならぬ飼い主自身です。
ご自身が向かい入れた犬の特性を理解しないまま、闇雲にアクセサリー感覚で飼い始めた方の多いこと……。犬を人生の共にする事はどう言ったことか、そして無知な飼い主に飼われ、不幸の道に迷いこむ犬を減らす。
そんな目的で綴っていければと思います。
ながくなりますので、今回はここで終わります。