ワクチン接種は必須なの?!

今回からトリマー視点で「犬種別」の飼い方のこつやトリミングサロンにおける良い点、悪い点をご案内していこうと思いましたが、次回以降にします。というのも、桜も満開になるこの時期にトラブルになりやすいのがワクチン接種にまつわる事だからです。

 

犬を迎え一緒に生活する上で、必須になるワクチンが2つあります。

 

1つ目が、狂犬病ワクチンです。

この病気は日本では何十年と発症例はありませんが、世界的に見ると毎年数万人の死亡例があるそうです。

人に伝播する原因のほとんどが感染した犬の咬まれたことによるもののため、犬へのワクチン接種が人への感染を防ぐ事にもなります。

この狂犬病のワクチン接種は国の法律で定められたものであるため、認知度も非常に高いです。また、接種を促す通知が来るこの時期にトリミングサロンでトラブルになる事があります。

それは、接種後のシャンプー、カットの利用時期です。ほとんどのトリミングサロンでは、ワクチン接種後には1週間あけてからの利用をお願いしています。

この理由は後述いたします。

f:id:lovedoglovepome:20190403090515j:image

自治体に登録すると鑑札が貰えます。

 

2つ目は、狂犬病以外の伝染病を予防する混合ワクチンです。

こちらは任意の為、認知度が低く、接種をしていない方も多くいらっしゃいます。

 

この混合ワクチンとは、仔犬が生後、母犬から母乳によって引き継いだ抗体が切れる頃に、計3回接種するのが通例です。生体ショップで犬を迎えた方は、成約時に必ず数字が入ったシールを貼り付けてある証明書をもらえるので、絶対に捨てないで下さい。(新しく混合ワクチンを接種して、その証明書があればもう不要です。)

 

f:id:lovedoglovepome:20190402000353j:image

↑何種のワクチンを接種したかわかる証明書

 

そして3回目を接種してから1年ごと、混合ワクチンを追加接種するのが望ましいとされています。ただ昨今では、2年から3年に1回で良いという獣医さんもおり、その点に関しては利用するサロンとの相談になります。

また、伝染病に対する抗体が残っているか調べることが出来ます。これを抗体検査と言い、証明書も発行されます。検査で抗体が残っている事がわかれば、追加接種をしなくて良いという判断材料にはなりますが、コアワクチンという3種類の限られた病気の抗体に関してしか調べられないそうです。

 

f:id:lovedoglovepome:20190403085056j:image

 

ワクチン接種にはリスクもあり、接種後体調不良を起こしたり、アレルギー反応が出ることもあります。また、免疫不全の病気になる事もあるため、接種後は必ず様子を見ることができる環境にしましょう。

 

実は上記の事が、ワクチン接種後はシャンプーなどを1週間空けてから、という理由になります。

私が以前勤めていたサロンで、こんな事がありました。

2日前に混合ワクチン接種をしたマルチーズがシャンプー&カットをご希望でした。私はワクチン接種後は1週間あけてのご利用を説明しましたが、お客様は「権威のある獣医が大丈夫だと言っているんだ!」と激昂され、引く様子はありませんでした。(今考えると怪しですが)

当時のサロンには付属病院があったため、その獣医に許可を取りトリミングをしましたが、案の定、施術後に痙攣を起こして付属病院に駆け込んだそうです。

 

 

さらに問題となるのは、この2種類を接種していないと、多くのトリミングサロンやペットホテルが利用できないことです。また、接種後1週間は体調変化を考慮し、同じく利用できないところが殆どです。

シャンプーやホテルの予約をしたものの、ワクチン接種をしていない、もしくは1年過ぎてしまったために、慌てて利用日間近に接種をしてしまった……結果、来店時にお断りになり、トラブルになるケースが非常に多いです。

 

サロン側がいくら説明しても、1週間以内で接種してしまう方が多いので、飼い主さんサイドにもぜひ常識として知っておいていただきたいと思います。

 

f:id:lovedoglovepome:20190403180853j:image

↑ドッグランでも証明書が必要な場合があります。

 

 

【今回の要点】

1.犬が接種すべき伝染病予防ワクチンは、2つある。

2.混合ワクチンは任意だが、狂犬病とあわせて毎年接種していないと利用できないペットサロン、ホテルが多い。

3.ワクチン接種後、1週間はシャンプー等は控える。